古伊万里 買取|欠け・ヒビの査定基準と直す前の注意
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実家の食器棚や蔵から出てきた染付の大皿を手に取ったら、縁が少し欠けていた。中央から細い線が放射状に入っている。「これは古伊万里だ」と聞かされていた記憶はあるけれど、傷があるなら聞くまでもないだろうか。そう思って手が止まっている方は、少なくありません。
先に結論をお伝えします。欠けやヒビがあるという理由だけで、古伊万里が査定の対象外になるわけではありません。
査定でまず確認するのは傷の有無ではなく、そのキズが焼成時にできたものか、使っているうちに付いたものか、そしてキズの場所と、その品自体の希少性です。
もうひとつ、先にお伝えしておきたいことがあります。査定前に直さないでください。良かれと思って接着や修復をすると、かえって評価が下がる場合があります。
この記事では、査定の現場で見ている順番のまま、ご自宅の一枚を仕分けしていきます。読み終えたときには、そのキズの呼び方と、次に取るべき行動が決まっているはずです。
この記事でわかること
結論:欠け・ヒビのある古伊万里でも査定はできる。変わるのは「減り方」
買取の可否と、査定額の増減は別の話です。欠けている、ヒビが入っている、割れている。これらはいずれも「値段が付かない理由」ではなく、「金額の幅を決める材料」として扱われます。
実際、破損のある古美術品や、作者・年代が分からない品を対象としている買取業者は珍しくありません。
買取の可否より先に決まるのは「キズの種類」
同じ「線」でも、焼き上がった時点ですでにあったものと、使っているうちに入ったものでは、査定での扱いが根本的に違います。
前者は窯疵(かまきず)と呼ばれ、その品が生まれたときからの特徴として見られます。後者は後天的なキズとして、減額の対象になります。
ご自身で「ヒビだ」と思っている線が、実は窯疵に分類されるものだった、というのは査定の場でよくあるやり取りです。まずここを切り分けないと、減額の話は始まりません。
査定額が大きく動く3つの要素
- キズの種類……焼成時のものか、後から付いたものか。後から付いたものなら、貫通しているか
- キズの場所……正面から見える位置か、伏せれば隠れる位置か
- 品の希少性……時代、様式、器種、揃いかどうか、箱の有無
この3つは、それぞれ独立して効きます。希少性が高い品は、多少のキズがあっても評価が残ることがありますし、逆に量産期の品は、無傷でも大きな金額にはなりにくい、というのが実情です。
この記事の使い方
まずお手元の品のキズを名前で特定してください。次に場所の影響を確認し、希少性の目安を見ます。
最後にご自分の品がどのゾーンに近いかを判断します。そこまで来れば、出し先の選び方は自動的に絞られます。
そのヒビ、本当に「傷」ですか?──窯疵と後天的なキズの違い

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。「傷がある」と思って相談をためらっている品の中には、そもそも傷として数えないものが含まれていることがあります。
焼成時にできたもの=窯疵は、一般に傷として扱われない
窯疵とは、窯の中で焼かれる過程で生じた状態のことです。土や釉薬、窯道具、焼成温度といった条件から生まれるもので、その品が世に出た時点ですでに備わっていました。
骨董の世界では、これらは「使用によって損なわれた状態」とは区別され、時代物の証拠や見どころとして受け止められることもあります。
窯疵に含まれる代表的なもの
- 貫入(かんにゅう)……釉薬の層に入る細かいひび割れ。素地と釉薬の収縮率の差で生じます
- 目跡(めあと)……重ね焼きの際に器と器の間に挟んだ道具の跡。見込みや高台内に点状で残ります
- ひっつき……窯の中で他の器や窯道具が触れて溶着した跡
- 釉切れ・釉ハゲ……焼成中に釉薬が縮んだり、掛かりきらなかった部分
- フリモノ……窯の天井などから落ちた異物が付着したもの
- 指跡……釉掛けの際の指の跡
貫入とニュウは、まったく別物です
この2つの混同が、いちばん多い誤解だと思います。
貫入は、釉薬の層の中で止まっている細かいひび割れです。表面を指でなぞってもほとんど引っかからず、網目状に広がっているのが特徴です。
ニュウは、釉薬を越えて素地(胎土)まで達したひびで、多くは一本の線として走ります。光にかざしたときに線の部分が透けて見えたり、指の腹でなぞると段差を感じたりします。
放射状に細い線が入っている場合、それが網目のように全体に広がっているなら貫入、中心から数本だけ伸びているならニュウ(後述するトリアシ)の可能性が高くなります。
「虫喰い」は古染付の特徴で、古伊万里ではあまり使いません
口縁の釉薬が虫に食われたように剥がれた状態を虫喰いと呼びますが、これは中国・明末に作られた古染付に多く見られる特徴で、景色として評価されることがあるものです。
古伊万里の口縁の釉剥がれは、通常は釉切れや後天的な欠けとして見ることになります。
ここは用語を取り違えると話が噛み合わなくなるので、無理に専門用語を使わず「口の部分の釉薬が剥がれている」と伝えていただくほうが確実です。
ただし、窯疵がまったく影響しないわけではありません
窯疵であっても、正面の目立つ位置に大きく出ている場合や、甘手(後述)のように焼成そのものが不安定な状態は、評価に影響することがあります。
「窯疵だから減額ゼロ」ではなく、「後天的なキズとは別の物差しで見る」とご理解ください。
| 項目 | 窯疵(かまきず) | 後天的なキズ |
|---|---|---|
| いつ生じたか | 焼成の過程 | 使用中・保管中・運搬中 |
| 代表例 | 貫入/目跡/ひっつき/釉切れ/フリモノ/指跡 | ニュウ/ホツ/カケ/ソゲ/トリアシ/割れ |
| 査定での扱い | 原則として減額対象にしない。時代の裏付けになることもある | 種類・場所・程度に応じて減額を検討する |
| 見分けの手がかり | 網目状に広がる/点や面で出る/他の同種品にも共通して見られる | 一本の線として走る/縁が鋭い/その一点だけに出ている |
| 触った感触 | ほとんど引っかからないことが多い | 段差や欠損を感じることが多い |
ここまで読んで「うちのは網目状に広がっている」と思われたなら、それは減額の話ではないかもしれません。次の項で、線の正体をもう一段はっきりさせます。
自分の古伊万里を3分で見る──キズの種類チェックリスト

ここからは、実際に品物を手元に置いて読み進めてください。名前が特定できると、問い合わせのときの説明が一気に短くなります。
ニュウ(入)──素地まで達したひび
釉薬を越えて素地まで届いたひびです。長さ、本数、そして器の縁から反対側へ抜けているか(貫通しているか)で扱いが変わります。数ミリの短いニュウと、器を横断するニュウでは、同じ名前でも評価は別物になります。
ホツ──数ミリ程度の小さな欠け
口縁や高台のふちに出やすい、米粒より小さい程度の欠けを指します。古い器では、使用の痕跡としてある程度は許容範囲に入ることもあります。数と位置が判断材料です。
カケ/ソゲ──ホツより大きい欠け
カケはホツより明らかに大きい欠損、ソゲは片側がめくれるように削げた状態を指します。ソゲは断面が斜めになるため、写真では大きさが伝わりにくく、実物か真横からの写真での確認が必要になります。
トリアシ(鳥足)──放射状に走るニュウ
一点から数本のニュウが枝分かれして伸びた状態です。鳥の足跡に見えることからこう呼ばれます。
皿の見込み中央や、壺の肩に出ることがあります。落下や衝撃、急激な温度変化がきっかけになることが多く、後天的なキズとして扱われます。
甘手(あまて)──焼きが甘く、貫入が多い状態
焼成温度が十分でなかったために素地が締まりきらず、貫入が多く入り、水分が染みやすい状態を指します。
厳密には窯の状態に由来するものですが、実用面での弱さがあるため、評価では独立して見ることになります。
確認のしかた(5つの手順)
- 昼間の窓際など、明るい自然光の下に置く
- 光に透かして、線が向こう側まで抜けているか見る
- 指の腹で軽くなぞり、段差や引っかかりの有無を確かめる
- 高台裏(底の輪の部分)を必ず見る。銘、削り方、釉薬の掛かり方が出ています
- 水を張らない。洗わない。汚れも含めて査定材料になります
「ヒビだと思っていた線が、実は貫入だった」という確認は、査定の場で行うことがよくあります。逆に「汚れだと思っていた線がニュウだった」という逆方向のケースもあります。
ご自身での判定に自信が持てなくても構いません。名前を断定できなくても、「網目状か、一本の線か」が言えれば、こちらでの見当はつきます。
同じ欠けでも金額が違う理由──キズの「場所」と「面積」

「うちのは5ミリくらい欠けています」という情報だけでは、実は査定の見当が付きません。同じ5ミリでも、どこが欠けているかで評価はかなり変わるためです。
見込み(中央)のキズは鑑賞面に直結しやすい
皿の内側中央は、絵付けの主役が描かれる場所であり、飾ったときにも真っ先に目に入ります。ここに入ったニュウや欠けは、鑑賞価値への影響が大きく出ます。
口縁のホツは、位置と数で扱いが分かれる
口縁の小さな欠けは、時代物では見つかることの多い状態です。正面(絵柄の中心が来る側)に集中しているか、裏側に回っているか、一箇所か複数かで見方が変わります。
高台や底部のキズは、影響が小さいことがある
飾ったときに見えない部分のキズは、鑑賞上の影響が限定的です。ただし高台は器を支える構造部分でもあるため、大きな欠損や、高台から立ち上がるニュウは別の評価になります。
貫通しているかどうかは、大きな分かれ目
ニュウが器を貫通していると、水を入れれば漏れます。徳利や花瓶のように水を使う器では、実用品としての機能が失われるため、鑑賞用としての評価に切り替わります。皿の場合は影響が相対的に小さくなります。
揃い物は、1枚のキズが全体に響くことがある
5客揃い、10客揃いといった組物は、揃っていること自体が価値の一部です。1枚だけ大きく欠けている場合、「4枚+難あり1枚」として見るのか、「5客揃いだが1枚に難あり」として見るのかで、金額の組み立てが変わります。
欠けた1枚を抜いて良品だけ出すのは、多くの場合おすすめできません。揃いとしての情報が失われるためです。
なお、この記事では「◯%下がる」といった数字は出しません。同じキズでも品の格によって影響幅が変わり、一律の係数として示せるものではないためです。
減額の幅を知りたい場合は、実物か写真での確認が必要になります。
キズより効くこともある「希少性」の見方──時代・様式・器種
ここまでは減点の話でした。ここからは加点の話です。破損があっても評価が残る品は、たいていこちら側に理由があります。
時代の目安になるポイント
初期伊万里(1610年代〜1640年代頃)は、素地に鉄分による黒い粒(鉄粉)が出ていたり、呉須(藍色の顔料)がにじんでいたり、高台が低く小さめだったりといった特徴が語られます。
一方、蛇の目高台(高台内の釉薬を輪状に削り取ったもの)は、重ね焼きの技法に伴うもので、幕末期の伊万里に多く見られる特徴とされます。
ただし、これらはあくまで目安です。特徴が一つ当てはまるだけで時代を確定することはできません。
様式で見る
- 古九谷様式……濃い緑・黄・紫などの色絵で、余白を塗り埋めるような力強い意匠
- 柿右衛門様式……乳白色の素地に、余白を活かした繊細な色絵
- 金襴手(きんらんで)……染付に赤や金彩を重ねた、装飾性の高いもの
「大明成化年製」などの銘について
高台裏に「大明成化年製」「大明萬暦年製」といった中国の年号が書かれていることがあります。これは中国の前時代の年号を写した銘であることが多く、そのまま中国の当該年代の作を意味するわけではありません。
伊万里にもこの種の銘は用いられました。銘があること自体は、それだけで真贋や年代の決め手にはならないとお考えください。
器種・サイズ・数量
大皿、徳利、蕎麦猪口、揃いの小皿など、器種によって需要が異なります。極端に大きいもの、極端に小さいもの、まとまった数があるものは、それぞれ別の見方になります。
共箱・箱書き・由来書
箱があると、伝来の手がかりになります。中身と箱が合っていないこともありますが、その判断も含めて材料になるため、箱だけ先に処分しないでください。
時代や作者が分からなくても、査定は進められます
「古伊万里と聞いていたが確証がない」という状態のまま相談しても問題ありません。判定はこちら側の仕事です。
ご自分の品が対象ジャンルに含まれるかどうかが気になる場合は、陶磁器を含む骨董品の買取対象一覧で先に確認しておくと、問い合わせの前に見通しが立ちます。
あなたの古伊万里はどのゾーン?──破損×希少性の4象限

ここまでの内容を、1枚の図に落とし込みます。縦軸に希少性(時代・様式・器種・揃い・箱)、横軸にキズの重さ(種類・場所・貫通の有無)を取ります。
| ゾーン | 状態 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| A | 希少性が高く、キズが軽い(ホツ数箇所、窯疵中心) | 出し先の選び方で差が出やすい。専門的に見られる先で、根拠の説明を受けながら判断する |
| B | 希少性が高く、キズが重い(見込みのニュウ、大きなカケ) | まとめて安く扱われないよう、破損品も個別に見る先を選ぶ。修復せずそのまま相談する |
| C | 希少性が読めず、キズが軽い | 他の陶磁器と一緒にまとめて相談するのが現実的。点数がまとまるほど出張査定と相性が良い |
| D | 希少性が読めず、キズが重い | 処分の前に一度だけ確認する。写真で完結する方法が負担が少ない |
A|希少性が高く、キズが軽い
もっとも金額に幅が出るゾーンです。同じ品でも、扱いに慣れた先とそうでない先で評価が分かれやすいため、査定額の根拠を説明してもらえるかどうかを確認しながら進めてください。
B|希少性が高く、キズが重い
「価値はありそうだが、傷が大きい」という、いちばん迷いやすいゾーンです。ここで修復に出してしまうと選択肢が減ります。まずは現状のまま見てもらってください。
C|希少性が読めず、キズが軽い
単品では大きな金額になりにくい一方、他の食器や茶道具とまとめると全体で判断してもらえます。実家の片付けと同時に進める形が合っています。
D|希少性が読めず、キズが重い
処分してしまう前に、写真1回分の手間だけかけておく、という考え方をおすすめします。値段が付かなかったとしても「確認した」という事実が残るため、ご家族に説明する材料になります。
どのゾーンでも共通する限界
4象限はあくまで見当を付けるための道具です。写真だけでは釉薬の質感や素地の色味、直しの有無まで読み切れないことがあり、最終的な金額は現物確認で決まります。この記事でできるのは「相談する価値があるかどうか」を判断するところまでです。
ご自分の品がどのゾーンに近いか見えてきたら、あとは実物を見る人の目で確かめるだけです。査定は無料で、金額を聞いてから手放すかどうかを決められます。まずはLINEで写真を送るところから始められます。
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やってはいけない5つのこと──良かれと思った行為で下がる

ここは、この記事を読んだ直後に効く部分です。金額を上げる方法より、下げない方法のほうが確実です。
1. 査定前に金継ぎ・修復をしてしまう
金継ぎは技法としては立派なものですが、買取という場面では話が別です。修復費用が査定額に上乗せされるとは限らず、修復の質によっては、直す前より評価が下がることもあります。直すかどうかは、査定額を聞いてから決めても遅くありません。
2. 市販の接着剤で貼り合わせる
瞬間接着剤やエポキシ樹脂で固定すると、後から外すのが難しくなります。専門的な修復に回す選択肢が失われるうえ、接着面に色が残ることもあります。破片は破片のまま、別にして保管してください。
3. 洗剤や漂白剤で洗う、強くこする
古い陶磁器は、貫入の中まで水や洗剤が入り込むことがあります。甘手のものはとくに染みやすく、シミが取れなくなる場合があります。長年の汚れやヤケも含めて時代の情報になるため、そのままの状態で見せてください。
4. 欠片(かけら)を捨ててしまう
破片が残っているかどうかで、その後の選択肢が変わります。呼継や共直しといった修復の判断にも関わるため、小さな破片でも一緒に保管しておいてください。
5. 箱・布・箱書きを処分してしまう
中身より先に箱を捨ててしまうケースがあります。箱書きは伝来の手がかりになるため、汚れていても残しておいてください。
(番外)欠けた1点だけ外して、良品だけ出す
H2-4でも触れましたが、揃い物を分けてしまうと、揃いとしての情報が失われます。難あり品も含めて、まとめて見てもらうほうが判断材料が増えます。
査定スタッフのコメント
「欠けているので、直してから持って行ったほうがいいですか」というご質問はよくいただきます。
ご相談をいただいた際、こちらで確認するのは、直しがすでに入っているかどうか、入っている場合はどこまで手が入っているか、そして破片が手元に残っているかどうかです。
直し済みの品は、どの部分をどう直したかを見るために、光を当てたり角度を変えたりして確認する時間が余分にかかります。
そのため、ご相談の段階では直さずに、現状のまま写真を撮っていただくようご案内しています。破片が残っている場合は、破片だけを並べた写真も1枚あると助かります。
すでに接着してしまっている場合も、その旨を最初にお伝えいただければ、それを前提に確認します。
「直し」のある古伊万里はどう評価される?
すでに修復されている品を売りたい、という場合の話です。ここは古美術に慣れた方からのご相談が多い領域でもあります。
金継ぎ・共直し・呼継の違い
- 金継ぎ……漆で接着し、継ぎ目に金粉などを蒔いて仕上げる。直しを隠さず、意匠として見せる手法
- 共直し……欠損部を埋め、周囲と同じ絵柄・色に合わせて、直しが分からないように仕上げる手法
- 呼継(よびつぎ)……別の器の破片を継ぎ足して補う手法
直しがあること自体が、即マイナスとは限りません
茶道具の世界では、金継ぎされた器がその状態のまま伝わり、直しを含めて見どころとされてきたものがあります。
ただしこれは、品の格や直しの質、伝来といった条件が揃った場合の話です。一般的な古伊万里の食器では、直しは減額の要素として見ることが多くなります。
共直しは、かえって確認に時間がかかることがある
分からないように仕上げられた直しは、紫外線を当てるなどして確認することになります。査定の手間が増えるだけでなく、後から発覚した場合の扱いも面倒になります。
修復歴は、隠さず先に伝えたほうが話が早い
「実は一度直しています」と最初に言っていただければ、その前提で見ます。伝えないまま進めても、確認の過程で分かることがほとんどです。最初に共有していただくほうが、結果的に早く着地します。
割れ物をどこに出すか──出張・宅配・店頭・個人売買の比較

キズの種類と、おおよその立ち位置が分かったら、次は出し先です。割れ物には、割れ物なりの選び方があります。
| 方法 | 向いている状況 | 破損品でのメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 出張買取 | 点数が多い/大皿・壺など運びにくい/実家の整理と同時に進めたい | 運搬による追加破損のリスクがない。その場で状態を見ながら説明が聞ける | 自宅に人を招く必要がある。日程調整が要る |
| 宅配買取 | 点数が少ない/来店が難しい/対面を避けたい | 時間を選ばず進められる。人と会わずに完結する | 梱包に手間がかかる。輸送中の破損リスクがある |
| 店頭買取 | その場で結果を知りたい/自分で運べる範囲 | その日のうちに結論が出る | 持ち運び中の破損に注意。大皿は箱ごと運ぶ必要がある |
| フリマ・オークション | 相場を自分で調べられる/梱包と発送に慣れている | 買い手が付けば高く売れる可能性がある | 破損の説明不足によるトラブル、輸送事故、返品対応がすべて自己責任 |
フリマ・オークションで、破損品に起きやすいこと
個人売買で問題になりやすいのが、キズの申告漏れです。「ニュウあり」と書いていても、長さや貫通の有無まで書いていないと、届いた側との認識がずれます。
また、割れ物の梱包は経験がものを言う部分で、輸送中に新たな欠けが生じると、その責任の所在で揉めることになります。
向いている人/向いていない人(破損品を売る場面に限定)
| 買取業者への依頼が向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| キズの正確な説明に自信がない | 相場を自分で調べ、時間をかけて高値を狙いたい |
| 複数点をまとめて片付けたい | 1点を確実に、特定の愛好家に届けたい |
| 輸送トラブルの責任を負いたくない | 梱包・発送・クレーム対応の経験がある |
| 期限がある(実家の引き渡しなど) | 売れるまで何ヶ月でも待てる |
| 家族に説明できる根拠がほしい | 金額がすべて。過程は問わない |
依頼前に確認しておきたいこと
- 査定料・出張料はかかるか
- キャンセル料はかかるか
- 値段が付かなかった品はどう扱われるか(引き取りか、返却か)
- 宅配の場合、返送の費用負担と、輸送中の破損時の扱いはどうなるか
とくに最後の1点は、割れ物では重要です。事業者ごとに条件が異なるため、申込みの前に必ず確認してください。
方法を決めかねている場合は、出張・宅配・店頭から選べる骨董品買取の詳細を見比べたうえで、品数と運びやすさから逆算すると決めやすくなります。
割れ物を運ぶ自信がない、家に人を上げたくない。そういう事情があるときは、箱に詰めて送る方法から検討してみてください。梱包の仕方だけの相談もできます。電話は年中無休、LINEは24時間受け付けています。
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査定を依頼するまでの手順──写真の撮り方と伝えるべき情報
最後は実務です。ここを押さえておくと、やり取りの往復が減ります。
撮っておくと話が早い写真4枚
- 正面全体……真上または正面から、器全体が入るように
- 見込み(内側)……絵柄が分かるように。斜めからだと反射しにくくなります
- 高台裏……銘、削り方、釉薬の掛かり方が写るように
- キズ部分のアップ……欠けは真横からも1枚あると、深さが伝わります
撮影は自然光の下で、フラッシュを使わないほうが色が正確に出ます。定規やコインを一緒に写すと、大きさが伝わります。
伝えるとスムーズな情報
- 点数(何点あるか、揃いか単品か)
- 口径(皿の直径)と高さ
- 箱の有無、箱書きの有無
- キズの位置(口縁/見込み/高台)と、線が向こう側まで抜けているか
- 修復歴の有無
割れ物の梱包(宅配を選ぶ場合)
- 一点ずつ、緩衝材で包む。器同士を直接触れさせない
- 箱の中に隙間を作らない。動くと割れます
- 破片は小袋にまとめ、どの品のものか分かるようにして同梱する
- 共箱がある場合、箱に入れたうえで、さらに外箱に緩衝材と一緒に入れる
査定スタッフのコメント
「電話で品物の説明をする自信がない」というお声をいただくことがあります。
お電話では、こちらから順に質問していきます。何のお品か(皿・徳利・茶碗など)、何点あるか、キズの有無、箱があるか。
この4つが分かれば、出張・宅配・店頭のどれをご案内するかまでは決められます。専門用語でお答えいただく必要はなく、「丸いお皿で、縁が少し欠けています」で十分です。
説明の負担を減らしたい場合は、LINEで写真を送っていただく形が確実です。文字を書かずに画像だけでも構いません。まずは正面と、気になるキズの部分の2枚から送ってみてください。
傷や欠けのある古伊万里の相談先として
ここまでで、キズの種類、場所、希少性、そして出し先の選び方まで整理してきました。最後に、実際に相談する際の確認事項をまとめます。
作者や年代が分からない品、鑑定書のない品について
骨董品の買取では、鑑定書の有無を必須としていない業者が多くあります。トレジャーマーケットでも、作者や年代が不明な品、鑑定書のない品、傷や欠けのある古美術品を買取の対象としています。判断の材料が足りない場合は、その旨を含めて説明を受けることになります。
出張・宅配・店頭から選べること
広島市内および広島全域への出張買取に対応しており、店頭は広島市中区大手町にあります。宅配は、来店が難しい場合や対面を避けたい場合の選択肢です。品数と、運べるかどうかで選んでください。
事前に確認しておくべき点
査定料・キャンセル料の扱い、値段が付かなかった品の取り扱い、宅配の場合の返送条件については、申込みの前に確認しておくと後から迷いません。
破損品の場合はとくに、返送の可能性を想定しておくと安心です。詳しい対応範囲は傷や欠けのある古美術品の査定についてのページで確認できます。
よくある質問
Q. 欠けている古伊万里でも買い取ってもらえますか?
A. 欠けがあるという理由だけで対象外になるわけではありません。欠けの大きさ、位置、その品の希少性を合わせて判断します。傷や欠けのある古美術品を対象としている業者を選んでください。
Q. ヒビがあると価値はどのくらい下がりますか?
A. 一律の割合ではお答えできません。釉薬の中で止まっている貫入なのか、素地まで達したニュウなのか、貫通しているか、場所はどこかで幅が大きく変わります。現物か写真での確認が必要です。
Q. 貫入も傷として減額されますか?
A. 貫入は焼成の過程で生じる窯疵の一種で、原則として後天的なキズとは別に扱われます。ただし甘手のように貫入が多く焼きが甘い状態は、独立した評価対象になります。
Q. ニュウとホツは、どちらが評価に響きますか?
A. 一概には言えません。長く貫通したニュウは、小さなホツより影響が大きくなることが多い一方、正面の目立つ位置にある大きなホツは、短いニュウより響くこともあります。長さ・位置・数の組み合わせで見ます。
Q. 金継ぎしてから売ったほうが高くなりますか?
A. 高くなるとは限りません。修復費用が査定額に反映される保証はなく、仕上がりによっては直す前より評価が下がることもあります。査定額を聞いてから判断することをおすすめします。
Q. 査定前に洗ってもいいですか?
A. 洗わないでください。貫入から水や洗剤が染み込み、シミが残る場合があります。埃を柔らかい布で軽く払う程度にとどめてください。
Q. 割れてバラバラになったものも見てもらえますか?
A. 品物によっては査定の対象になります。破片をすべて残し、接着せずにそのまま持ち込むか、写真を送って相談してください。破片の欠落があるかどうかも判断材料になります。
Q. 作者も時代も分かりませんが、査定できますか?
A. できます。高台の削り方、呉須の発色、素地の色味、銘の有無などから判断します。「古伊万里らしい」という程度の情報でも問題ありません。
Q. 共箱がないと安くなりますか?
A. 箱があるほうが伝来の手がかりになりますが、箱がないことだけを理由に対象外になるものではありません。箱と中身が一致していないケースもあるため、箱の有無は材料のひとつという位置づけです。
Q. 割れ物を宅配で送っても大丈夫ですか?
A. 梱包次第です。一点ずつ包み、箱の中に隙間を作らないことが基本になります。輸送中の破損時の扱いは事業者ごとに条件が異なるため、申込み前に確認してください。
Q. 値段が付かなかった品はどうなりますか?
A. 引き取りとなる場合と、返却となる場合があります。宅配の場合は返送費用の負担についても条件が分かれるため、事前に確認しておくと安心です。
まとめ:まず「キズの種類」を決めてから、出し先を選ぶ

この記事の要点
- 欠け・ヒビがあるという理由だけで、古伊万里が査定の対象外になるわけではない
- 網目状に広がる貫入や目跡などの窯疵は、後天的なキズとは別に扱われる
- 評価を動かすのは、キズの種類・キズの場所・品の希少性の3つ
- 直さない、洗わない、破片と箱を捨てない。これだけで選択肢が残る
今日できる最初の一歩
品物を明るい場所に置いて、正面・見込み・高台裏・キズ部分の4枚を撮る。それだけで、相談の準備は整います。名前が分からなくても、「網目状の線か、一本の線か」だけ見ておいてください。
価値が分からないまま処分するより、一度見てもらってから決めた方が、後で悔やむことは少なくなります。電話でもメールでもLINEでも、品物の種類を伝えるだけで話は進みます。査定は無料です。
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査定スタッフのコメント
「作者も時代も分からないのですが、それでも見てもらえますか」というお問い合わせは珍しくありません。
査定では、作者名より先に確認する項目があります。高台の削り方と釉薬の掛かり方、呉須の発色とにじみ、口径と高さ、高台裏の銘の有無、そして素地の色味です。
作者不明・時代不明のままお預かりして、こちらで判断するケースは通常の流れです。
お問い合わせの際は、正面・見込み(内側)・高台裏・キズ部分の4枚の写真をご用意いただけると、ご案内がしやすくなります。
撮影が難しい場合は、口径(皿の直径)と点数だけ電話でお伝えいただければ、そこから質問させていただきます。